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炭の特性 炭の歴史 / 炭の特性

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■備長炭と竹炭の違い

 備長炭がつくられるまでには熟練した高度な技術が必要な上に、原材料の育成に大変長い歳月が必要です。備長炭の原材料になるウバメガシは、ブナ科のコナラ属という種類の植物で、材が硬く上質な備長炭に適しています。紀州半島南部の内陸部崖地には上質なウバメガシが育ちますが、大量伐採のために減少しています。ウバメガシは一度伐採すると、材料として使えるように成長するまでに約30年もの歳月がかかります。紀州半島南部産のウバメガシを原材料とする備長炭は大変貴重なものです。
 職人は山に入り、道無き道を行き、自然の声を聴き、急な斜面に生えているウバメガシの木々を選び、必要な分だけ切り出します。そして1000度以上の高温で備長炭を焼きます。備長炭作りは切り出しから窯出しまでの全てが手作業、まさしく職人達の命、魂が込められているのです。

 竹炭は活性炭的な役割や生活炭としての役割(水質浄化・土壌改良・炊飯・風呂)が主流です。
 竹は切ること自体が竹林の成育のためになるため、大量に原材料が手に入り、炭にすることが出来ます。

■ご存知でしたか?炭の効果と現代テクノロジー

 黒い塊に見える炭は、細かいパイプ状の組織の集まりです。そのパイプが縦横につながることで、炭、特に備長炭の表面に、ミクロの孔(あな)が無数に出来ます。
 孔の表面積は1gあたり約300平方メートルもあり、テニスコート1面分以上の広さになります。この孔に空気や水分、湿気などが通過することで、有害物質、不純物、臭いの分子が内部に吸着して消臭や除湿などの作用が働きます
 またこの孔には微生物が住み、吸着した有害物質を分解し、無害化して自然に還してくれる炭の微生物培養装置(バイオリアクター)としての特性があります

 炭の断面図

 法隆寺や伊勢神宮など、古い木造建築の床下にも炭が敷かれています。古の人々は炭が持つ特質を知り、暮らしの役に立てていたと言えるでしょう。
 そして今では目にすることが少なくなってきた炭ですが、実は現代のテクノロジーにより、生活のあらゆる場所で私たちを支えてくれているのです。
 炭はエネルギーとして使用されるもの、炭素材料として使用されるものに加え、近年では健康や環境に貢献しています。

 炭は素材・形状で様々な使い方があります。
 たとえば、「カーボンナノチューブ」という言葉をみなさん一度は耳にしたことがあるでしょうか。これは炭素(カーボン)でできた直径が約0.8~数10ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1、1mmの100万分の1、人間の毛髪の1000分の1~10万分の1)の円筒状の物質で、鉄より100倍硬く、重さは6分の1と強度に富み、軽量です。
 その特質を生かしたカーボンナノチューブで作った炭素繊維を用いた複合材料は軽量、高強度、高弾性、耐熱性に富むため、あらゆる分野で活躍しています。
 また炭はダイアモンドと鉛の中間の構造を持ち、結晶ではないので、黒色顔料やカーボンブラック(炭素の微粒子)として広く利用されています。また、カーボンナノホーンという現在研究が進められている炭素素材は、カーボンナノチューブの一種で、その先端をとがらせたもので、新しいエネルギー源に貢献できる燃料電池の電極素材やガス吸蔵材として実用化に最も近いナノカーボンです.
 カーボンブラックは直径300~500ナノメートルの炭素素材で、熱を外に放出する特性を持っています。タイヤや電気カーペットのプラスチックシートなどに入っています。

 今では店舗やオフィスなどあらゆる空間に置かれ、皆さんが目にする事も多い観葉植物。そこにも炭の力が使われています。「ハイドロカルチャー」という言葉はご存知無くてもご覧になったことはあるでしょう。土の代わりに粒状の用土を使って育てる観葉植物で、その用土の素材として炭を使っています。空気中の有害物質を浄化し、ミネラルが豊富でメンテナンスが手軽なので、屋上緑化など地球環境の改善にも貢献しています。


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